|
平成10年7月10日
世界で初めて光インタコネクトを用いた
並列コンピュータを試作
－ノード間接続距離を50メートルまで拡大に成功－
並列分散パフォーマンスつくば研と光インターコネクション日立研はこのたび、世界で初めて光インタコネクトを搭載した並列コンピュータの試作と稼働に成功しました。試作システムは、最大スループット300メガバイト／秒の光インタコネクトによって8つのノード（コンピュータの単位）間を接続し、並列コンピュータとして稼働するものです。ノード間を電気配線で接続した従来の並列コンピュータに比べて、5倍のノード間接続距離で同等の処理速度を実現しました。 本技術は、並列コンピュータの小型化や分散化を可能にするとともに、将来の光コンピュータの道を拓くものとして期待されます。
 |
 |
| 計算機（光版 RWC-1）の外観 |
プロセッサボードの外観 |
今日のスーパーコンピュータの飛躍的な性能向上は、演算処理回路や通信ネットワーク技術の急速な発展に支えられています。しかし、その一方で、コンピュータ内部のデータ転送速度が、LSIのピンネックや電気配線による電磁干渉（EMI：Electro-Magnetic
Interference）のために限界に近づいており、システム性能を制限する要因として顕在化しつつあります、この解決手段として注目されているのが、光インタコネクト技術です。
従来、光通信技術は、その広帯域性を利用して、ギガビットイーサネットやファイバチャンネルのようなLANやプロセッサと外部記憶装置間の接続に使用されてきました。しかし、コンピュータの内部データ接続系（並列ノード間接続・主記憶装置接続等）には、光回路や信号処理による遅延がネックとなり使用されませんでした。光インタコネクトは、このような欠点を解消するために、複数の光送受信系を並列駆動し、小型な素子サイズで電磁干渉耐性の強い大容量・高速・長距離データ接続の実現を目的とする技術です。
並列分散パフォーマンスつくば研と光インターコネクション日立研は、（1）光インタコネクトモジュールの高密度実装技術、（2）光インタコネクト専用通信LSI、（3
）プロセッサアーキテクチャ（RICA：Reduced Inter-processor Communication Architecture）［TRC：Tsukuba
Research Center 独自開発］を開発し、計算機内部のノード間データ接続を全て光インタコネクトで実現した並列コンピュータシステムの試作に成功しました。8つのプロセッサ
- ノード間を接続したベンチマークテストの結果、ノード間を電気配線で接続した並列コンピュータに比べて、5倍（50メートル）のノード間接続距離で同等の処理速度を実現しました。
本システムは、光インタコネクトを装置内データ接続系に使用することで、計算機内部のI／0ネックを大幅に緩和するとともにデータ接続系の大容量化・小型化と配置の柔軟化を実現したものです。光インタコネクトは、飛躍的なコンピュータの性能向上に寄与するものとして期待されます。
 |
 |
| 電気版 RWC-1 |
光版 RWC-1 |
＊参考文献
[1] T. Yokota, H. Matsuoka, K. Okamoto,
H. Hirono, A. Hori, and S. Sakai, "Prototype Router for the Massively Parallel
Computer RWC-1", Proc. of ICCD 95, pp. 279-284, 1995.
[2] S. Nishimura,
H. Inoue, S. Hanatani, H. Matsuoka, and T. Yokota, "Optical interconnections for
the massively parallel computer", IEEE photonics technology letters, vol. 9, no.
7, pp.1029-1031, 1997.
[3] S. Nishimura, H. Inoue, S. Hanatani, H.
Matsuoka, and T. Yokota, "Error-free optical interconnection for the massively
parallel computer", IEEE photonics technology letters, vol. 10, no. 1,
1997.
＊本件に関する問合せ先
日立製作所 中央研究所
西村信治（Nishimura,
Shinji）
〒185 東京都国分寺市東恋ケ窪1-280
Tel: 0423-23-1111 (ext.3023)
Fax:
0423-27-7689
|
