1.はじめに

オフィスや研究所内において高速LANにつながったコンピュータ群を利用したパーソナルなスーバコンビューティング環境、すなわち、シームレス並列分散コンピューティング環境の実現を目指して、つくば研究セン夕の３つの研究室は、通信アーキテクチヤ、システムソフトウエア、コンパイラ技術の研究開発を行ってきています。並列分散システムソフトウエアつくば研究室は、システムソフトウエアの研究開発を担当しています。

2.SCore CIuster 1

シームレス並列分散コンピューティング環境を実現するための研究プラットフオームとして図１に示す異機種クラス夕SCore　１号機を製作しました SCore　１号機はlntel社製Pentiumlll(500MHz) のデュアル構成コンピュータ16台とCompaq社製Alpha 21264(500MHz)プロセッサを使用したコンピュータ１６台から構成されます。これらコンピュータは、Myrinet、ギガビツトイーサネツト、10OMbpsイーサネットで接続されています。

図１。Score Cluster 1号機とScore System Software Version 3アーキテクチャ

3.SOoreSystem Software Version3

SCore System Software Version 3はシームレス並列分散コンビューティング環境のためのシステムソフトウエアです。図１に示すとおり、SCore は、Linuxオベレーティングシステム上に、高速通信ライブラリPM I1、グローバルオベレーティングシステムSCore-D、MPI通信ライブラリ MPICH-SCore、分散共有メモリシステムSCASH、並列プログラミング言語システムMPC++から構成されます。SCore Version3により、様々なハードウエアおよびネットワークをシームレスに利用できるようになりました。

4.貢献

工業界への貢献

三菱電機システム産業研究所と共同で実時間電力シミュレータを開発しています。実時間電力シミュレータは新しく開発した保護装置等の電力機器を実際の電力系統に接続される前にテストとして使われます。50マイクロ秒単位に、機器からの3 層交流値を受け取りシミュレー夕内で電力系統を模擬して、その結果を機器に渡します。PM通信ライブラリが達成している低遅延通信機能により、初めてPC上で実現することが可能となりました。

研究社会への貢献

当研究室では、技術論文を国際会議で発表するだけでなく、開発したシステムソフトウェアをインターネット経由で公開しています。1998年秋以降、200以上のサイトが我々のソフトウエアを入手し、国内外で使用しています。例えば、ドイツボン大学では、Parnas2と呼ばれる128台規模のクラス夕を製作しました。そのシステムソフトウエアにSComが使用されています。

5.終わりに

来年度中には、他の研究室が開発している RHINETネットワークおよび0mniコンパイラとSCoreシステムソフトウエアを統合し、プロジェクト最終イメージを完成させる予定です。