RWC研究成果に対する内外の反響
-RWCP製作ビデオのインタビューよりー

　RWCPでは、RWCプロジェクトにおける研究成果およびRWCPの研究活動状況をご紹介するために、広報ビデオを制作しています。1998年度も、つくば研究センタを中心に数種類のビデオを作り広く配布したところ、たくさんの反響を得ました。

　このビデオには、SC98、AAAIなど、海外の国際会議においてRWCPのデモンストレーションをご覧いただいた方にインタビューした映像も含まれています。それらのビデオでインタビューに答えて下さった方々のお話を誌上に再現し、RWCプロジェクトの研究成果が内外関係者等に、どのような印象を与えたかを、RWC NEWSの読者にもお伝えしたいと思います。

「Toward Seamless Computing-RWCP Research Results in SC98」

　SC98は、世界一の規模を誇る並列分散コンピューティング関連の国際会議です。RWCPは、SCの研究展示に1996年より参加してデモンストレーションを行っています。

　SC98では、並列分散コンピューティング分野の分散研究室も参加し、128台構成のRWC PCクラスタ2号機、RWC Alphaクラスタ1号機を使って数々のデモンストレーションを行いました。SC98研究展示会場における海外有識者のインタビューを、ここに再現します。*

グリムショウ博士インタビュー 「現在アメリカでクラスタは、ビジネスを行う上でコストパフォーマンスの良い方法だと考えられています。 　クラスタコンピュータは、従来のスーパーコンピュータに取り替わって標準的なものになりつつあります。 　RWCPのクラスタは、最初からクラスタとして機能すべく開発され、パッケージングも良くできているので感心させられます。 　他の多くのクラスタは『単にコンピュータをいくつか繋いでそれでどうなるだろう』というものですが、RWCのクラスタは、非常に完成度の高いものです。 RWC PCクラスタ２号機は、重要なコンピュータ資源であり、我々のネットワークに加わってもらいたいと思っています。とはいえ、このコンピュータを占有するわけではありません。むしろコンピュータのコミュニティに参加してもらい、相互に利用できるようにするのです。」 「RWCPは、Extreme Linuxと同様、Linux上でのシステム開発を推進していますが、非常に良い活動だと思います。」

ギャノン博士インタビュー 「RWCPのMPC++ソフトウェア**の研究は、そのアプリケーション開発とともに進められてきたもので、HPC++言語の研究に大きな影響をもたらしました。それは、環太平洋アジアと米国を結ぶ高性能ネットワーク上における国際パートナーシップの一部として非常に重要となってきています。 　このようなネットワークにより、米国の科学者たちは、RWCPが研究開発した高性能ツールやアプリケーションに直接アクセスできるからです。」 「RWCPのPCクラスタのためのアーキテクチャは、世界でもっとも優れたアーキテクチャだと思います。 　PCクラスタに関するRWCPの研究成果はそのソフトウェアを含め比類なきレベルのものです。」

レインダース博士インタビュー 「現在、ほとんどのシステムは同一機種で構成されたクラスタで稼働します。問題となるのは、半年後、一年後、一年半後にクラスタをアップグレードしようと思ったときに入手可能な機種が現在のものとは異なってしまうことです。 　そのときクラスタすべてを新しいものと入れ替えるのではなく、入手可能な機種の追加による拡張を行いたいと思うでしょう。 　そこでソフトウェアの構成を工夫して異機種クラスタ環境のための複雑なコードを表面に出さないようなものにしたいという要求が出てくるわけです。これによりアプリケーション作成者からは、扱っているクラスタが同一機種のクラスタであるかのように見えます。 　このように異機種クラスタ環境のためのシステムを同一機種クラスタ環境のように容易に扱えるようにすることは、ハイパフォーマンスコンピューティングのソフトウェア開発者にとって、今後5年以上にわたる大きな課題となるでしょう。」 「我々ロスアラモス国立研究所とRWCPの研究協力は、異機種クラスタシステムソフトウェアの設計という挑戦的な研究にこれからも大きく役立っていくでしょう。 　過去数年に亘ってのRWCPとの研究協力は非常に有意義なものであり、技術交換というかたちで多くの知識を学び合いました。」

ベックマン博士インタビュー 「SCoreシステムは、クラスタを一貫性よく管理する方法を提供してくれるソフトウェアです。 　このシステム無しでは、同時に全てのアプリケーションの実行と通信を効率良くスケジューリングすることが出来なくなってしまいます。SCoreシステムはアプリケーションとハードウェアとの間にある重要なミドルウェアです。ですから私たちがこうしたミドルウェアを使用できるということは非常に重要です。 我々はSCoreシステムの上に自分達のソフトウェアを構築する作業を進めています。」 「我々は、SCoreシステムに魅せられました。なぜなら、SCoreシステムが、完全に統合されたパッケージであり、この種のソフトの中では非常に先進的ミドルウェアであるからです。 　SCoreシステムにとって次にとるべき重要なステップは、ユーザ層を広げていき、このシステムを業界標準化することです。つまり、より多くのユーザにこのソフトを使用してもらうようにしていくことです。 特にソースコードがオープンなLinuxコミュニティにおいて、このシステムはさらに成長していくでしょう。このようなコミュニティでは共同研究してソフトウェアが育っていくからです。」